Web 進化論

僕がこの業界に入ってから最初に感銘を受けた本が、昨年の 8 月くらいに読んだ、梅田望夫 による Web 進化論だった。
その本を久々に引っ張り出して見つけたこの一節。

ここ数年考え続けてきたことをまとめればいいと分かっていても、さまざまな指向の断片を一冊の本へと構造化させるには膨大な集中の時間を要する。そのことは、書き始める前から想像がついていた。私の場合、日々の仕事の制約から、ほとんど人に会わずに一つのことに集中できるのは長くても五週間である。そこで、五週間精一杯ベストを尽くし、それでもまとまらなければ仕方ないと腹をくくり、毎朝午前 3 時に起床し、原則として午前中一杯を集中の時間に充てた。全部書き終えたときはふらふらだったし、今振り返ると、その五週間についての記憶が曖昧である。そんな風にしてこの本はできあがった。

この創作への姿勢が素晴らしいと思った。

僕が思うに、この本の素晴らしさは、Google という、良くも悪くも現代では無視できない巨大なパワーについて、そして Google を中心としたネットの世界について、一般の人が関心を持ち、さらには行動を起こさせてしまうほど見事に、構造化し、切ってみせたところだと思う。

梅田さんがプログラムを書いたとか、書いていないとか、そんなことでこの本を評価すべきではないと思うし、その創作に対する姿勢は、適当な気持ちで日々を過ごすプログラマには足元にも及ばないだろう。

そして僕が没頭し、新しいメディアを生み出していくための、モチベーションとなっている。